特集>高校生からの手紙


 高校生の皆さんが市民オンブズマンおかやまに興味を持ち、質問の手紙をくれました。回答の手紙を送りましたが、本会のこれまでの歩みの他、岡山県の情報公開、財政状況などがうまくまとめてあるので、会員の皆さんにも貴重な資料となると思われます
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○○高等学校
2年  A 様
                                            平成11年12月10日
                                        市民オンブズマンおかやま
                                             副代表 須藤曉子
 お手紙拝見しました。   
 「現代社会」で今の社会の現実を学ぶことはとても素晴らしく、オンブズマンに興味を持たれ、お手紙を下さったことを嬉しく思います。

(1)社員は何名いますか?
 「市民オンブズマンおかやま」は会社ではなく、普通の市民がボランティアで活動しています。情報公開に興味を持ち、活動しようという人達が会員になって運営している自主的な市民グループです。会員は現在200名程で、会社員・自営業・退職した人・主婦・弁護士・税理士等の方々が、会費を払って活動しています。

(2)創立何年ですか?
 平成8年10月設立で3年たちますが、「市民オンブズマンおかやま」は岡山県内で1番初めにできたオンブズマンです。今は、倉敷・津山にもオンブズマンができています。

(3)どんな仕事をしていますか
(4)オンブズマンの目的は何ですか?
 「情報公開」という言葉をご存じですか?行政(国の省庁・都道府県庁・市町村役場)や議会の持っている文書の公開を求めることを「情報公開」と言います。「情報公開」された文書を分析し、私たちの納めた税金がどのように使われているか、無駄使いはないか等を"市民の常識的な目でチェックする活動"をして税金がどのように使われているか、無駄使いはないか等を"市民の常識的な目でチェックする活動"をしています。

(5)オンブズマンの意味を教えてください。
 「オンブズマン」という言葉は、18世紀、王政のスウェーデンで「国王直属の代弁人」という意味で使われ始めました。代弁人は国王から指名され、王政に対する意見を民衆から聞き、国王に申し述べる役割です。
 現在の「オンブズマン」は王(権力者)の手の中にいるのではなく、行政や議会に対して、第三者的立場から市民の目でチェックし意見を述べます。
 日本では、大阪の市民グループが「市民オンブズマン」と名乗ったのが始まりで、税金の無駄使いを監視しようという市民グループの名前として定着しています。ですから「オンブズマン」の意味は、"情報公開制度を利用して、税金の無駄遣いをチェックしようとする市民グループ・運動・またはその活動をしている人のこと"と言えます。今では「市民オンブズマン」の全国的な連絡組織ができて活発に活動しています。

(6)これからの目標を教えてください。
 目標は、全国どこでも"情報公開は当たり前のこと"になる事ですが、その為には「情報公開制度」を作ることが第一です。制度がないと、私たちがいくら情報を公開してほしいと思っても、お役所の都合のいい情報は教えてくれるかもしれませんが、知りたい情報を知りたい時に「知る権利」が保障されません。
 国ではやっと「情報公開法」が成立し、2001年から施行されますが、地方自治体となると「情報公開条例」(国の法律と同じ意味)があるところはまだまだ少ない現状です。
 岡山県内で条例が制定されているのは、岡山県と、市では岡山・倉敷・津山・新見・笠岡(玉野・高梁はまもなく制定予定)で、総社・井原・備前は未制定です。町村で条例のあるところは、大佐・勝央・奈義・勝北の4町だけで、その他の52町12村は未制定です。あなたの住んでいる○○市は「情報公開請求」ができます。
 また、議会の情報公開は行政よりずっと遅れています。行政をチェックすることが議会の大事な役割ですが、議会自体が自分たちの情報を隠していてはチェック機能に信頼がおけません。ちなみに、岡山県議会は情報公開条例の対象機関になっていなくて、情報の閉鎖度は全国ワースト1(平成10年)という残念な状態です。

(7)最後に一言お願いします。
 一生懸命考えてお返事を書きましたが、いかがでしょう。ご質問下さった生徒の方々と相談し合ったり、○○先生にお聞きになって勉強を深めていただけたらと思います。そして、もし時間がとれるようなら、市役所や市議会に行って市民オンブズマンの一員になったつもりで質問すると面白いと思います。
 高校2年生でこのような勉強をしていることはうらやましい限りです。これからも現実社会に目を向け学んでいってください。
                                              敬具
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○○高等学校
2年  B 様
                                           平成11年12月10日
                                       市民オンブズマンおかやま
                                            副代表 須藤曉子
拝復
 この度は、お手紙ありがとうございます。
 オンブズマンに興味を持たれ、ご質問いただいたことを嬉しく思います。○○先生のもとで現実の社会を勉強することは、一人前の社会人になる為の良い土台になると思います。
 ご質問のテーマが大きいので、適切なご返答になるか自信がありませんが、これを契機に今後も学んでいっていただければ幸いです。

(1)他の県に比べて、岡山県の税金の使い方はどのようになっているのですか
 県に入る税金は、地方税(県民税など)・地方交付税(国から交付されるお金)・ 地方譲与税があります。
 地方交付税は、県民税の不足を補ったり、県が事業をするとき補助金として国から交付されます。県知事や地元選出の国会議員が国に陳情(事業の援助やお金をもらうお願いをする)に行くのはその為です。
 地方自治・地方分権と言われていますが、県に入る税金は全部県が自由に使えるわけではありません。現実は3割自治で、国の権限が7割と言われています。今後、国の権限を縮小し地方分権を進め、本当の地方自治ができる方向に行くには、"寄らば大樹の陰"の姿勢をお役人・議員初め、県民も改めなければなりません。
 また、県の財政は税金だけでは足らず、積もり積もった借金が現在1兆円あり、1日の利息だけでも1億円と言われています。県財政は破産寸前、全国的に見ても最悪の部類に入ります。ですから、せっかくの税金も借金の返済や利息に消えたり、今まで取り組んでいた事業を途中で止めたり(凍結)、福祉や教育の経費を削ったりして四苦八苦しています。税金を有効に使うという事からはほど遠い現状です。
 ※県の赤字の現状・財政の仕組みについては、D君への返信が参考になるでしょう。
 何故こんなに借金が増え、身動きならない状態になってしまったのでしょうか。次のご質問で考えてみましょう。

(2)今まで一番無駄だと思われる税金の使われ方は何でしょうか 。
 どこにどれだけ税金を使ったかが、一般県民にはよくわかりません。、県の「情報公開条例」ができたのは平成8年10月で、それ以前の文書は一切出ないので詳しいことが解らないのです。
 しかし、バブルの頃に大型事業がたくさん行われ、その頃の借金のつけが今も尾を引いていることは確かです。吉備高原都市・岡山空港・チボリ公園・王子アルカディア・西警察署・岡山県南部健康づくりセンター・生涯学習センターなどが代表的なものでしょう。
◆ 「チボリ公園」は、第3セクター方式(行政と企業が資本を出し合い、民間の活力を取り入れる)で作られていますが、民間企業はどんどん撤退し、県の負担は3年間で約400億円という膨大なものになっています。
 ※チボリ公園については、C君への返信を参考にして下さい。

◆ 玉野にある「王子アルカディア」は途中でお金の都合がつかなくなりホテル建設が中断し、草ぼうぼうのお化け屋敷になっています。未だに使い道の目途は立っていません。

◆ 林立する柱が目を引く「西警察署」(約80億円)・「岡山県南部保健づくりセンター」(約63億円)・「生涯学習センター」(42億円弱)などは、CTO〈クリエイティブタウン岡山〉という特殊プロジェクトで建てられ、建設費は通常の1.5倍と言われ、備品も贅の限りを尽くしています。バブルの申し子のようなCTO事業は結局中止、建設中のものは大幅に規模縮小されました。

◆ 中でも壮大な無駄遣いは、「吉備高原都市」ではないかと思います。山の中に新しい都市を造る構想ですが、道路を造り、山を削って土地を造成し、企業を誘致し、住宅・商店・学校・病院など生活基盤を整備することは並大抵ではありません。今までつぎ込んだ税金はどれ程のものでしょうか。気が遠くなる金額でしょうが、文書が公開されないのでわかりません。ましてや、破産寸前の県財政事情で事業凍結。中途半端な状態で、そこに移り住んだ方達は大変な思いをしていることでしょう。

 このように土地や建物など"物"を造ることに税金を使う事が、今もって公共事業の代表的な姿です。財政状態が悪くなると真っ先に削られるのが、福祉や教育など形として見えない"ソフト面"なのは悲しいことです。
 税金の使い方に行政の姿勢が一番表れます。税金はお役人のものではなく、納税者である国民みんなのものです。これからも税金の使い方に関心を持ち続けて下さい。
                                            敬具
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○○高等学校
2年  C  様
                                             平成11年12月10日
                                         市民オンブズマンおかやま
                                             事務局長 重田 龍三
拝復
平成11年11月26日付け、オンブズマンに関してのお手紙拝見いたしました。
「現代社会」で地方自治や福祉など一所懸命勉強されているようすが、私たちの活動に関心をよせられたことでも十分理解できます。

(1)ご質問の「チボリ公園の建設時にどのくらいの税金が使われたか」という点にお応えします。
 建設する前にあった建物を取り壊したりする補償、地主クラボウ移転のための補償費、土地代等が開業前費用として32億円。
 土地を使えるようにする費用(基盤整備)文化・芸術施設費用が153億円。
 総事業費478億円の内、185億円が岡山県事業分、チボリジャパン社事業分293億円。
 チボリジャパン社が会社として事業を行うためには資金(調達資金)を集めなければなりませんので岡山県が支出するお金の内訳は@資本金35億円と増資分30億円、さらに不足分の、A無利子融資50億円、B低い金利の融資70億円、合計155億円。調達資金の合計は293億円ですから残り138億円は民間からの資本や銀行からの借り入れです。
 さらに、支出済開業前費用(調査・研究等)46億円は助成金としています。
 185+155+46=386億円という膨大な金額が3年間で支払われました。
386億円の中には土地代金(賃借料)の80%の県負担額(5〜6億円/年)が含まれています。
 細かい数字を挙げると混乱しますので、ご質問の建設、創業にかかる金額は約400億円(3年間)と覚えていてください。勿論税金です。

(2)「オンブズマンのみなさんは一日どのくらい仕事をするのですか」のご質問について。
 オンブズマンは行政(岡山県や県内市町村の役所)が私たちの納めた税金をどのように使っているかを監視しチェックします。
 会員はごく普通の一般市民(県民)で、主婦、サラリーマン、自営業者、弁護士などが自分のお金を出して活動しています。ですから、自分の時間がとれる時に活動(仕事ではありません)をします。きっと、あなたは儲かりもしない事を何でやっているのか、疑問が浮かぶでしょう。この話は大変面白いものですが、又の機会にします。 
 あなた方は、将来日本を背負って立つ人たちで、今から税金の使い道を知り、それが有効か否かをしっかり見極める勉強を是非お願いします。
                                                      敬具

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○○高等学校
2年  D 様
                                             平成11年12月10日
                                         市民オンブズマンおかやま
                                             事務局長 重田龍三
拝復
 平成11年11月24日付け、お手紙拝見しました。勉強熱心で感服します。
 正解になるかどうか自信がありませんが、お答えいたします。

(1)「岡山県はどのくらい赤字があるのですか」について
 一般の会社などは年度末に決算をして、貸借対照表や損益計算書を作成します。収入と支出の差で黒字(収入が支出を上回ること)か赤字(収入が支出を下回ること)かを決めます。
 行政は上記の複式簿記による会計処理をせず、お金の出入り(家計簿みたいな)だけで計算(発生主義といいます)します。ですから赤字と言うことばは使いません。
 財政で「赤字」をさすなら、県が抱えている借金「債務残高」と言えるのではないでしょうか。それは、予算を執行するときお金が足らない場合や、今日のように不況で税収が不足するときなどに、県が国や民間の金融機関からの借金(地方債)のことです。
 毎年きちんと返して行けば問題はないのですが、積もりつもって、現在、債務残高は約1兆円あります。1日の利息は1億円といわれます。県民1人あたり約50万円(赤ちゃんから老人まで)です。
 昨年、石井知事は「県財政は倒産寸前の状態」と発表しました。一般の会社でしたら、間違いなく倒産でしょう。

(2)「税金のむだ使いのチェックは年に何回するのですか」について
 特に回数はきまっていません。岡山県や岡山市、倉敷市等には「情報公開条例」があります。条例とは、自治体が独自に制定した法律のことです。
 その条例は、県民や市民(貴方も勿論含まれます)に行政が持っている公文書類を請求があれば見せましょう(情報公開)というものです。私達はそれを活用して、情報の公開を請求します。出てくる文書を分析して、税金が正しく使われているか否かをチェックします。それにより「カラ出張」「官官接待」などが大きく報道されました。
 ご存知でしたか?

(3)「赤字対策はありますか」について
 対策を立てるのは、行政側の姿勢です。行政改革委員会などをつくり、財政再建に懸命なようです。しかし、非常に複雑で難問山積です。岡山県では平成10年から13年の4年間で1,849億円の収支不足が予測され、倒産(財政再建団体)が予測されるので、10年度で228億円の歳出削減をしました。
 なぜ、そんなに借金が増えたのでしょうか。皆さんで考えてみて下さい


お話するにはとても紙面がたりません。
 これからの時代を背負う貴方たちは、賢い市民になってください。賢いということは勉強が良くできるということではありません。自分が納めた税金が本当に市民に還元されているのか、そのためには納税者の立場に立った政治家をより多く選ばなければなりません。選挙権を得たならば棄権せず、貴方の一票がすみ良い社会、信頼にたる国を創るはずです。「国民主権」「主権在民」をしっかり自覚することをお願いして筆をおきます。
                                                       敬具

◆財政用語の説明◆
経常収支比率
A  岡山県は沢山の職員を抱えています。それらに支払う給料など <人件費>
B  職員の生活を助ける為の手当等 <扶助費>
C  借金の元金や利息の償還に必要な経費 <公債費>
D  A+B+C 固定的に支出される経費 <義務的経費>
E  岡山県へ入る税金 ・・・・・・・・・・・・・・<地方税>
F  国から地方へ交付されるお金 <地方交付税>
G       〃            <地方譲与税>
H  E+F+G 経常的な一般財源です

Hに対するDの占める割合が低いほど、財政が健全といえます。
岡山県は平成9年度、95.7%(全国平均88.3%)・10年度、98.4%

公債費比率
Hに対するCの占める割合を言います。C/H
県は9年度22.8%(全国平均14.6%)、10年度23.2%(16%がボーダーライン)

起債制限比率
若干算出方法は異なり(複雑な計算)、公債費率と同様、公債費のHに占める比率であり、国が岡山県の地方債(借金)発行を許可する基準のひとつです。この比率が20%を超えると、これ以上の地方債発行が許可されません。平成10年度は18.2%です。