岡山県職員措置請求書

★★却下通知★★
1.岡山県知事に対する措置請求の要旨
   岡山県会議員(以下議員という)に交付された、平成15年度の政務調査費の使途に関し、議員総数56名のうち、以下14名の議員について、使途基準を怠る違法な支出があるため、知事は、15,139,464円を、岡山県会計に返還する措置を講じることを求める。

2.請求の理由
  (1)議員に交付される政務調査費の使途については、「地方自治法」(以下自治法という)第百条第13項及び第14項、「岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例」(以下条例という)、「岡山県会議員の政務調査費の交付に関する規程」(以下規程という)により定められている。

  (2)議員に対する政務調査費は、条例により、年間420万円を上限として、四半期ごとの最初の月に交付されている。これは、議員の調査研究に資するため、必要経費の一部として交付される公費であり、その使途基準は、規程の別表(第4条関係)に定められているほか、上級官庁が定めた使途項目別ガイドラインにより、厳正な取扱が求められている。

  (3)私達は、「岡山県議会の政務調査費に係る収支報告書の閲覧に関する要項」に基づき、平成16年5月31日に平成15年度の「政務調査費収支報告書」(以下収支報告書という)を閲覧し、「岡山県議会情報公開条例」により収支報告書を複写し分析を行った。

  (4)議員は、条例により収支報告書を、翌年度の4月30日までに議長に提出しなければならず、また議員は、規程により、政務調査費の支出について会計簿を調整し、その内訳を明確にするとともに、証拠書類等を整理保管し、これらの書類を当該政務調査費の収支報告書を提出すべき期間の末日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならないと定めている。従って、法令は、収支報告書に諸証拠書類の添付を義務付けていないため、市民は収支報告書に記載されている項目別の明細のほかは、詳細な支出実態を把握することが不可能である。

  (5)従来、政務調査費は議員の第二の議員報酬であり、その使途は不透明かつ疑惑があるとの市民の声があった。そこで、私達は、平成16年6月25日付で、政務調査費支出にかかる証拠書類等公開の可否について、議員に対するアンケートを実施(郵送)し、7月12日を期限とする回答を求めた。
 この結果、証拠書類等を公開すると回答した議員は、森本徹磨、武田英夫、赤坂てる子、森脇久紀の4議員、公開しないとする回答は、三原誠介、蜂谷弘美の2議員であり、他の50名の議員は回答無しであった。
無回答の50名の議員は、市民の要望に対して説明責任を果たすという真
摯な姿勢が見られない。

  (6)私達は、収支報告書とその備考欄に記載された明細をもとに分析を行った結果、次の議員について、政務調査費の使途基準に明らかに違反する執行を確認した。

    @ 交通・宿泊費の支出が、議員の平均的支出(約45万1千円)に比べ格段に高額であり、
       政務調査のため以外の視察旅行等に不当に使用したものと思考する。
          
 氏   名    費       目     金     額
*井手紘一郎 調査研究費 交通費 1,247,300円
. 研修費  交通費    65,000円
. . (小計)  (1,312,300円)
*天野  学 調査研究費   交通費   686,600円
. . 宿泊費    409,000円
. 研修費 交通費   128,000円
. .   宿泊費    92,400円
. . (小計)  (1,316,000円)
井元乾一郎 調査研究費 交通費 1,072,434円
. 研修費 交通費   157,530円
. . (小計) (1,229,964円)
*高橋戒隆 調査研究費 交通費 1,895,400円
. 研修費 交通費   261,800円
. . (小計) (1,557,200円)
山田総一郎 調査研究費 交通費   871,181円
. . 宿泊費    84,757円
.  研修費 交通費   171,480円
. . (小計) (1,127,418円)
. . 合 計 6,542,882円
 
     (注)上記のうち、氏名冒頭*印の議員は、「岡山県議会の議員の報酬及び費用弁償等に
        関する条例」による平成15年度の視察旅行を行っていないが、報告義務のない政務調査費で
        代替したものと推測される。
      
    A 広報費のうち印刷費の支出が、議員の平均支出(約28万9千円)に比べ異常に突出しており、
      政務調査以外の議員活動と按分しないなど、使途基準に違反した支出である。

      住吉良久   広報費         1,079,446円

    B 事務所の借上げ料について、議員の平均支出(約34万6千円)に比べて異常に多額で
       突出しているほか、調査研究活動以外の活動費(例えば通常の議員活動費や後援会
       事務所費)との按分を行っていない違法な支出であるる。

      佐藤真治    事務所費  借上げ料  1,236,000円
      森本徹磨   事務所費  借上げ料    1,750,000円
                         合 計   2,986,000円

    C 調査研究に係る備品購入や消耗品費の支出としては、常識的に考えても高額であるほか、議員の平均支出(備品約18万8千円、消耗品費約12万3千円)に比べても格段に多額であるほか、どのような備品や消耗品を購入したのか不明であり、使途基準に違反した不適切な支出である。
 氏  名       費     目             金  額
井手紘一郎 事務費 備  品  413,000円
千田博通 事務費 備  品  878,374円 
三村峰夫  事務費 備  品  473,132円
小田春人 事務費 消耗品費  455,000円
内山 登 事務費 備  品  432,000円
井元乾一郎 事務費 消耗品費  561,734円
小林清子 事務費 備  品  400,000円
. 事務費 消耗品費  453,200円
. . (小計)  853,200円
増川英一  事務費 備  品  464,696円
. . 合 計 4,531,136円
  
(7)自治法第二百四十二条第2項は、「前項の規程による請求は、当該行為があった日又は終わった日から一年を経過したときには、これをすることができない。ただし正当な理由があったときは、この限りでない」定めている。
  平成15年度の収支報告書は、規程の定めにより、平成16年5月31日以降でなければ閲覧することが出来ず、その内容を検討分析するには相当の期間が必要であることに鑑み、本件は適法な措置請求である。

3.結 論
  よって、上記議員の平成15年度政務調査費の支出金額について、厳正な監査を行い、岡山県が被った損害を補填する必要な措置を取るよう、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明資料を添付して請求する。


平成16年9月15日
                   (請求者)  5名
                     住所XXX
                     
                     職業XXX
                     
                     氏名XXX


岡山県監査委員 様